オフィスや店舗・工場では、広い部屋をパーティションや造作壁などの壁で区切り、より小さな部屋を作ることがあります。その小さな部屋に、電気・電話・LAN・防犯カメラ・スピーカーなどのケーブルを通したい場合は、パーティションや壁が邪魔になり、うまく配線することができません。
この記事では、区切られた部屋へ配線するための方法をできる限り分かりやすく説明し、注意点もあわせて解説してゆきます。
- 1 壁を越えた配線をする必要がないケース
- 2 広い部屋を区切るなら、電気の配線は必要かもしれない
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- 3 有線LANなら配線作業は必須、無線LANでも電波状況によってはWi-fiアンテナ増設のために有線LANの配線作業を検討
- 4 置き型のビジネスホンを利用するなら1台でも電話配線作業は必要
- 5 電話・TV・校内放送・スピーカーなど
- 6 部屋の構造種類をチェック
- 7 別の部屋に配線をする方法は4種類
- 8 どの配線方法を使えばいいの?
- 9 まとめ
壁を越えた配線をする必要がないケース
まず考えるべきは、配線をしなくても済む方法です。この後に開設する壁を越えた配線方法は、どれも費用や手間がかかる方法です。配線をしなくてもよいケースを一部ご紹介しますので、こちらに該当するかどうかをまず検討してみましょう。
- 部屋内でインターネットを利用したい場合で、部屋外からの社内無線LAN電波を受信できる場合
- 部屋内で電気を利用したい場合で、壁にコンセントがあり、利用したい電子機器の電気容量が足りる場合
- 部屋内でテレビを利用したい場合で、壁にテレビ電波受信用のケーブル接続口がある場合
- 部屋内でコードレスのビジネスホンを利用したい場合で、コードレス電波を受信できる場合
もし、上記に該当しない場合は、やはり壁を越えた配線を行うべきかもしれません。次からは配線分野ごとに配線が必要なケースやその方法を解説してゆきます。
広い部屋を区切るなら、電気の配線は必要かもしれない
電気は、倉庫などの特殊用途でない限りほとんどの場合に必要になります。壁にコンセントがある、という部屋でももしかすると、区切られた部屋での電気利用の際には、電気の配線工事を検討したほうが良いかもしれません。
壁にコンセントがある場合でも、電気の配線工事をお勧めする理由は以下の2つです
- 壁のコンセントを利用する場合、電気容量は1系統に限られている
- 壁のコンセント自体は、多くの場合3分岐で配線されていている場合がある
まず1つ目の「壁のコンセントを利用する場合、電気容量は1系統に限られている 」とは、「壁のコンセントでブレーカー1つ分」である1系統である。ということです。建物や部屋によって異なりますが、ブレーカー1つ分で20Aであるケースが多く、20A(アンペア)とは一般的に用いられる100V(ボルト)電圧では2000W(ワット)となります。
ドライヤーで「1200Wハイパワー」などの文字をご覧になったことはありませんか?その1200Wを2つ同時に利用すると、合計で2400Wとなりますので、ブレーカーの許容電気量を超えることとなり、ブレーカーが落ちます。つまり、壁のコンセント1つでは、その容量しかないということになります。
次に2つ目の「 壁のコンセント自体は、多くの場合3分岐で配線されていている場合がある」ということですが、壁のコンセント1つで1つのブレーカーということは少なく、多くの場合、壁のコンセント3か所で1つのブレーカーに分岐させて利用しています。
よって、2か所の壁のコンセントで、1200Wのドライヤーを同時に使った場合は、同じ個所の壁のコンセントでなかったとしても、大元のブレーカーは同じであるため、ブレーカーが落ちます。壁のコンセントの電気容量は、意外に少ないといえます。
そのため、広いオフィスなどでは「壁のコンセントは原則使わない、一時利用に限定する」と定めている会社もあります。これは、壁のコンセントを利用した場合、使用する電気容量の計算がしづらいということや、壁のコンセントを利用して、PC使用を行う場合、もしブレーカーが落ちた場合にPCの電源が落ちてデータが消失するなどの作業効率低下を防ぐためです。
新たに部屋を作った場合は、部屋内で使う電子機器の電気容量を計算し、場合によっては電気配線をして新しい電気回路を配線することも検討してみましょう。
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オフィスの配線トラブルで怖い思いをしたら配線整理をしてみよう
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有線LANなら配線作業は必須、無線LANでも電波状況によってはWi-fiアンテナ増設のために有線LANの配線作業を検討
部屋内で以下の業務を検討している場合は、社内LANへの接続が必要になる可能性があります。
- ビデオ会議
- PC利用
- WEB防犯カメラ
無線LANアンテナがその部屋になくても、電波強度が十分にあるようなら配線は不要なケースもありますが、動画などを用いる場合は、ある程度のインターネット帯域を必要としますので、有線LANの高い安定性は魅力的です。また、インターネット方式の防犯カメラを設置したり、インターネット方式のテレビ配信サービスを利用する場合も無線LANでは、多少力不足を感じるかもしれません。
置き型のビジネスホンを利用するなら1台でも電話配線作業は必要
部屋内で、置き型のビジネスホンを利用する場合は、その台数に関わらず必ず電話配線作業が必要になります。また、コードレスを利用する場合は、すべての場合に電話配線作業が必要ないように感じられますが、実際には、以下のようにコードレスの種類によって特性が違うため、配線作業が必要になる可能性があります。
- アナログコードレス 少し大きめの受話器サイズのコードレス電話機。アンテナと1対のため、配線作業は必要
- デジタルコードレス 少し小さめのスマホサイズのコードレス電話機。アンテナと1対のため、配線作業は必要
- PHSコードレス 少し小さめのスマホサイズのコードレス電話機。社内PHS用のどのアンテナからも電波を受信できるため、電波強度によっては配線作業は必要ない。ただし、電波が弱いなら部屋内にアンテナを設置するために配線作業は必要
電話・TV・校内放送・スピーカーなど
インターネットを利用しない、TV・構内放送・音楽用スピーカーは、ほぼ有線での利用一択であるため利用する場合は、廃酸作業が必要になるケースがほとんどでしょう。
部屋の構造種類をチェック
次に、チェックしておきたいのが、壁で区切られた部屋の構造種類です。構造は大きく以下の2つに分けられます。そして、その部屋の構造種類は、床下に設置されるOAフロアと大きく関係します。
造作壁
建物に元々ある壁ではなく、入居者が新たに作った壁のことを造作壁といいます。造作壁は、軽量鉄骨や木材で骨組みし、石膏ボードや板を張り付けて作ります。自由度と耐久性が高い点がメリットですが、しっかりした土台を必要とするため、コンクリートの床に直接作ります。そのため、OAフロアは造作壁で途切れることとなり、OAフロアの下を通った配線はできなくなります。
また、造作壁は一度設置すると取り外しができないため、部屋内で配線を必要とする業務を行う場合は、事前に計画的な配線作業が必要です。実際には、配管を作るとよいでしょう。配管とは、その内部にケーブルを通すための空洞の管で、壁に穴をあけて配管の出口を作り、プレートなどで隠します。配管を作らずに壁を作ってしまった場合には、後日、何らかの工事を行わなければいけないケースがあります。内装工事店の担当さんとよく打ち合わせましょう。
間仕切り・パーティション
間仕切りもパーティションも、ボードと部品を組み上げて部屋を作ります。間仕切りは、天井まで柱を立てます。パーティションは、天井までは柱を立てません。いずれも、造作壁ほどの耐久性はありませんが、設置後の再設置も可能です。大きなワンフロアで簡易的な仕切りを作りたい場合によく用いられる構造で、OAフロアがある場合は、OAフロアの上に立てます。
そのため、配線作業はOAフロアの床下を通すことができます。造作壁に比べて、はるかに配線作業は簡単になります。
別の部屋に配線をする方法は4種類
配線の方法は4種類で、部屋の構造によってどの方法を使うかが異なります。
床下配線(OAフロアタイプ)
OAフロアの普及により、最も多い配線方法です。二重構造になっている床の間に配線が通せるため、自由に配線が可能。ただし、配線したい部屋が壁や造作壁の向こう側の場合は二重床部分が途切れるため、利用できません。
床下配線(配管タイプ)
床コンクリートやフローリングの下にある埋め込みの配管を利用して配線を行います。ケーブルの露出を最低限に抑えられるため、配管さえあれば見た目や安全性にメリットがある方法です。ただし、古い建物では配管が詰まっていたり、ケーブルの出入口が決まっていて配線ができないケースも多々あります。
天井配線(室内側)
欄間空き(上部開放型)のパーティションで利用できる配線方法です。床上から天井まで、カバー等でケーブルを固定して配線を行います。パーティション上部の隙間や脇を通すため、穴あけも発生しません。ケーブルは部屋内に露出するため、やや見栄えは悪くなります。
天井配線(天井裏側)
配線元・配線先の部屋の天井パネルに穴をあけて天井裏に線を出し、天井裏づたいに別の部屋へ配線する方法です。穴あけや天井パネルを抜く作業が必要になるため、配線工事費用が割高になってしまう点がネック。また、退去時の原状回復作業もやや割高になります。ただ、床下配線と同様、見栄えは大変良いです。床下配線が利用できない時に行う配線方法で、配管やパーティションの隙間がない時に利用しますが、天井裏に梁(はり)や仕切りがあるとこの方法は使えません。
どの配線方法を使えばいいの?
配線方法を選ぶ基準は、コスト・見た目・手間の3点で考えましょう。
造作壁の場合
造作壁の場合は床下配線(配管タイプ)が最良の方法です。その場合、配線の通り具合や配管の出口を下見で調査する必要があります。もし配管が使えない場合は最終手段の天井配線(天井裏)ですが、梁の有無の調査や天井抜きの作業費用が加算されます。
パーティションタイプの場合
パーティションタイプなら、床下配線(OAフロアタイプ)か天井配線(室内天井)が手間・コストの点で最も優れています。床がOAフロアではないなどの場合、次点として床下の配管を通す方法をオススメします。配管が使えない・通っていないなら天井配線(天井裏)になりますが、この場合は天井裏の調査が必要でややコストも高くなります。
まとめ
オフィスや店舗、工場で別の部屋に配線をする際の注意点や方法を解説しました。
適切な配線方法は、部屋の仕切りの種類により異なります。部屋がパーティションで区切られている場合は、床下配線(OAフロアタイプ)が第一選択です。難しい場合は床下配線(配管タイプ)や天井配線(室内側)、いずれも不可能なら天井配線(天井裏側)をご検討ください。
壁や造作壁で区切られている場合は、まず床下配線(配管タイプ)が候補となります。その際は事前の下見調査を行い、以下に挙げる点をチェックしておきましょう。
・配線元と配線先の部屋に、配管の出入り口があるか
・配管に配線が通るか(詰まりなどの異常がないか)
床下配線(配管タイプ)が不可能な場合は、天井配線(天井裏側)をご検討ください。こちらも事前に、天井裏に梁がないかチェックが必要です。いずれにしても、工事費用は通常よりも加算される可能性が高いです。
もっとも労力を要し費用が高額となっても、配線できるならばまだ良いといえます。建物によっては、工夫を凝らしても配線できない場合もあることも留意しておきましょう。
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