オフィスの配線トラブルで怖い思いをしたら配線整理をしてみよう
無線技術が進歩した現在でも、オフィスには多くのケーブルが配線されています。LAN・電気・電話・USBなどは、特に利用されているため、PCの裏や机の間、見えない場所などにぐちゃぐちゃに放置されていることもあります。
ただし、これらのケーブルには、全て電気が流れていることをご存じでしたか?そして、電気が流れているということは、漏電やショートにより火災の危険性もあるということ。トラブルの中でも特に火災は「起こってから対応」では遅く、早めの対応が必要になります。以下に、それぞれのケーブル種類での一般的な電圧を一部ご紹介します。
- 電気ケーブル 電圧は約100V程度
- 電話ケーブル NTTからで約50V程度
- LANケーブル 電圧は1V以内 ただし、給電HUBを利用するケースでは約50V
- USBケーブル USB1.1/2.0では電流500mA・電圧約5V、USB3.0では電流900mA・電圧約5V
よくある電気トラブルでは下記のようなケースがあります。
- スマホ充電用のUSBケーブルを皮膜破れたまま使っていたら、中の銅線が見えていて、触ったらビリッと来た
- 気付いたら、いつの間にかOAタップがうっすら焦げていて、少しぞっとした
- 壁に挿しているコンセントが、くねっ、となって壁から斜めに離れていて、少し気になったので抜いたら、そこにホコリがたまっていた。これがトラッキングっていう電気火災のやつか。とリアルに見てしまった
いずれも、大事に至る前に気づいて本当に良かったですが、万が一の火災が起こると下記のような損失が起こるリスクがあります。
- 会社における紙・データの情報資産がすべて失われる
- 社員がやけど・怪我をする
- 他のテナントや近隣住民に大変な迷惑をかける
関連記事:危なかった(汗)オフィス・店舗の配線トラブル物語3つ
近年、オフィスにある電子機器の配線ケーブルは、無線技術の進歩により、有線から無線化へシフトしつつあります。ただ、電子機器や用途によっては、安定した通信接続を必要とするため、不安定な無線ではなく有線の利用場面はまだまだ多くあります。
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近年、オフィスにある電子機器の配線ケーブルは、無線技術の進歩により、有線から無線化へシフトしつつあります。ただ、電子機器や用途によっては、安定した通信接続を必要とするため、不安定な無線ではなく有線の利用場面はまだまだ多くあります。 […]
火災は、少し神経質なぐらい予防するのが良いといいます。オフィスの配線における予防策にはどんなものがあるのでしょうか?今回は、10のコツをご紹介いたします。
①絡んでいるケーブルはほどこう
ケーブルは、通常、柔らかい皮膜でおおわれています。外側の皮膜は分厚く、さらに中にある薄い皮膜が銅線を覆っています。これらの皮膜は柔らかい素材でできていますが、硬いものや、経年劣化により古くなり硬くなってしまうものもあります。
そのような場合に、絡んでしまうと円を巻くような形になり、その円の外側の皮膜が強く引っ張られる形となります。薄く引っ張られると、皮膜が延びて薄くなり、カバーの役割としての効果が減ってしまい、破れやすくなります。このような絡まりを見つけたら、早めにほどくようにしましょう。
もし、どうしてもほどけない場合でも放置するのは危険です。できるようなら新しいケーブルに交換してしまいましょう。
②たこ足状態を減らそう
「電源コンセントをたこ足状態にしないほうが良い」ということはお聞きになった方も多いでしょう。けれども、いつまでもこの言葉が残っているということは「わかってはいるけどやめられない」という意味なのかもしれません。もちろん、たこ足状態にしないほうが良いとはわかっていても、やってしまうようなケースは下記のような場合です。
- 今、使っているOAタップの口がすべてふさがっている
- 100円ショップで売っている、3分岐コンセントを連続して使っている
- OAタップを増やしたいが、壁のコンセントがすべてふさがっている
- ACアダプターの形が大きい、または、今使っているOAタップの差込口との向きが合わないため、OAタップの差込口をつぶしてしまっている
上記のようなケースでも、有料にはなりますが、対策をしてたこ足状態を解消することができます。
A 口数の多いOAタップを購入する
最近では、10個口OAタップというものもあります。ただし、1つのOAタップで1500Wまで。というのが一般的なので、その容量を超えないように注意しましょう。ちなみに、USB2.0では、給電量は2~5W程度です。
B ACアダプタ対応OAタップを購入する
最近は、OAタップでもこのような変わった形のものもあります。ACアダプタを多く利用する方には向いているかもしれません。
C USB給電用のOAタップを購入する
OAタップがUSB給電器でいっぱい。という方は、このような多ポートUSB給電器が向いているかもしれません。
以上、3つのOAタップをご紹介しました。たこ足は、口数が多いOAタップを購入するだけで簡単に解消できるケースが多いです。何よりも怖い、火災トラブルを防止するためです。ご自身が良く使う電源ケーブル等にあったものを選んでゆきましょう。
③配線カバー(ワイヤープロテクター/モール)を使ってみよう
ケーブルはそのまま床に転がしておくと、足を引っかけてしまったり、踏んでしまったりする原因となります。そのダメージが重なることで、確実にケーブルはダメージを受けることとなり、トラブルの原因となります。
もし、ケーブルが床や部屋の隅に転がっている場合は、写真のようなケーブルをカバーする保護材の利用を検討してみましょう。この保護材にはさまざまな通称があります。
- ワイヤープロテクター(略称:ワイプロ)
- モール(大きめのモールはワゴンモール)
- ケーブルカバー
いずれも同じものです。また、形は様々あります。
- モノが通ったり、踏んでしまうような場所には、かまぼこ型を使います
- 部屋の隅にひく場合は、四角型を使います
- 大きさは、ケーブル1本用から10本用までさまざま
特に悩むのが大きさですが、利用する場所にもよりますが、ある程度大きめのほうが良いでしょう。「当初はケーブル1本での利用を想定していたら、3本入れることになってしまった」というような場合には、ケーブルカバーの中に配線を収容しきることができませんので、買い替えが必要になります。
④古いケーブルを買い替えよう
「使えるからそのままでいい」という感覚は様々なもので「正解」といえますが、ケーブルに関しては「不正解」かもしれません。
ケーブルは、外の皮膜と中の皮膜、それに中の銅線の3つで成り立っていることが多いです。皮膜は、耐久性を高くすることができますが、その場合は、硬くなるため利便性に欠けます。そのため、耐久性を落とし、柔らかくすることで、引き回しをしやすくし便利に使えるようにしました。
もちろん、数年以上使うことは可能ですが、ケーブルには電気が通っており、火災の危険があります。経年劣化により、皮膜に火災の危険を防ぐための性能が減少している場合は、当然、交換したほうが良いでしょう。以下のような場合は、交換を具体的に検討されたほうが良いでしょう。
- 皮膜が破れている
- 皮膜が硬くなっている
- 皮膜が踏まれて変形している、黒ずんで汚れている
目で見て確認できるのは、外部の皮膜のみであるため、皮膜を見ることが中心になります。ただし、皮膜の中でトラブルが起こっている場合も考えられます。外から見た皮膜が破れていなくても、変形したり、ダメージを受けていることが確認できた場合は、内部のダメージも予測したほうがよい場合もあります。
交換する場合は、単純に以前使っていたケーブルと同じものを購入し、差し替えるだけですみます。ケーブルは、機器と違い、料金的にはかなり低額で購入できる場合が多いので、気軽に交換できます。
ただし、以下のような場合は、注意が必要です。場合によっては、電気・電話・LANなどの配線工事の専門業者へ依頼をしたほうが良いかもしれません。
- 以前のケーブルが何を使っていたかわからない、
- ケーブルの末端がどこにあるかわからない
- 以前のケーブルと違うケーブルを使いたい、
⑤オフィスがOAフロアなら床下に配線を収容しよう
今のオフィスはOAフロアですか?もし、OAフロアなら積極的に活用してみるのを検討してみるのもよいかもしれません。
OAフロアとは底上げ床のことで、階下への振動防止に役立ったり、ケーブル収容スペースとして活用することができます。OAフロアは、100㎡(30坪)の事務所で、施工費は30万円~70万円ほど。それなりの費用が掛かっている設備であるため、使ってみると大変便利です。活用できるような場合でしたら検討をしてみましょう。
OAフロアへケーブルを格納する手順は以下の通りです
- まず、OAフロアの上でケーブルを床におき、必要な長さやルートを確認する
- この際のルートは直線距離ではなく、机を置いていない通路に沿わせるため、多少長くなる
- 予定しているルートのタイルカーペットをはがす
- OAフロアを開ける
- ケーブルを格納する
- OAフロアを閉じる、タイルカーペットを貼る
配線工事業者は、すべてのOAフロアを開けずに一部を開け、その間をリード線を通してスピーディに引くことを行う場合もあります。ただ、この方法は難易度が高いため、一般の方へはあまりお勧めできません。
⑥タイルカーペット下にはなるべく配線しないようにしよう
タイルカーペットとは、オフィスの床に貼る50cm×50cmのタイル型のカーペットをいいます。このカーペットには、床側の面にのりがついており、貼ったりはがしたりすることができ、大変便利に使えるため多くのオフィスで利用されています。
そして、このタイルカーペットの下にひけるようなケーブルがあります。それを「フラットケーブル」といいます。フラットケーブルは、主に、LANケーブルと電話ケーブルがあります。タイルカーペットをはがして、さっと配線できるため、大変簡単です。
ただ、こちらのフラットケーブル。一時的な利用としては問題ないのですが、長期間の利用を行う場合は、あまりお勧めしていません。
それは「タイルカーペットの粘着力が下がる」ためです。タイルカーペットの床側面は固定的な接着剤ではありません。タイルカーペット下部のOAフロアを開け閉めできるように、まったくはがせないほど固定はせずに、あくまで、摩擦力を大幅に高めて、タイルカーペットが横ずれしないことを目的にしています。ある意味で、粘着力は弱い、ともいえるでしょう。
その弱い粘着面に、フラットケーブルが入ります。当然フラットケーブルにはのりがついていませんので、粘着力はありません。また、ケーブルの厚み分、タイルカーペットが浮きます。その部分でも、粘着力が弱まります。1本だけではなく、2本3本引くとより粘着力は弱まります。一時的には良いのですが、長期間使っていると、タイルカーペットの横ずれが始まることになります。
できれば、長期間使うケーブルは、③のようにケーブルカバーを利用し、壁の隅を這わせるか、⑤のようにOAフロア下を通すほうがもちがよい、となるでしょう。
関連記事:壁やパーティションの向こう側に配線したい場合はどうすればいい?
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⑦コンセントを抜いて根本のホコリを取ってみよう
「トラッキング現象」という言葉があります。これは、コンセントと電源プラグの隙間にホコリがたまり、空気中の湿気が作用し、漏電・発火する現象をいいます。
最近は、トラッキング防止用の電源プラグが多くなったため、危険性は減りましたが、一部電気製品や古い電子機器はトラッキング防止になっていないため注意が必要です。また、トラッキング防止であっても誇りが溜まっていていいというわけではありませんので、配線整理を行うついでに、コンセントから電源プラグを抜きホコリを取りましょう。
⑧配線整理は営業時間外に行うようにしよう
これまで①~⑦と配線整理のコツをお伝えしましたが、そのいずれもコンセントから電源プラグを抜く、PCからLANケーブルやUSBケーブルを抜く、電話機から電話線を抜く、という作業を伴うものです。つまり、通常業務に支障をきたすことにほかならず、営業時間中に行うと、同僚からストップが入ってしまうことが、容易に想像できます。
「会社のために頑張ってやっているのに」という配線整理担当者の思いはなかなか理解されないものです。そこで、お勧めなのが「配線整理代休」を取ることです。そして、みんなが働いている時に会社を休み、誰もいない快適なオフィスで、配線整理を行うのです。
「そんなこと、上司に言えない」という思い込みは1度捨てましょう。言ってみると案外通るかもしれません。上司から配線整理代休を獲得するための説得トークを考えてみましたので、もし使える方はぜひ使ってみてください。
- 見てください、このホコリ。トラッキング現象は知っていますか?リモートワークも増えてきた中で、もし、何かあったときに、いつもなら気付けることも気づけないかもしれません。今だからこそ、火災予防という意味も含めて、配線整理しましょう。
- 先日、○○さんから配線に関するトラブルがあり、電気が切れたという報告がありました。調べてみると、似たような問題個所が社内に複数個所あることを発見しました。それらの対策はしたほうが良いのですが、業者さんに頼むとそれなりの金額がかかるようです。業者費用を掛けずに私が行うこともできるのですが、1つ条件があります。配線整理代休というものがありまして…。
配線整理は軽く見られるものです。ただ、実は非常に重要なものです。熱意を込めてしっかりと説得しましょう。
そして、配線整理は大変な作業です。頑張った自分へのご褒美に、翌日はゆっくり休みましょう。
⑧配線整理をした後は動作確認をしよう
配線整理が終わったら、配線がつながっていた機器の動作を確認しましょう。電気は、通電確認。電話・LANなどの通信機器は、きちんと通信ができるかまでを目で見て確認しましょう。ある部分までは問題ないから、大丈夫だろう。と思っていても、意外と信用できません。きちんと、1台ずつ動くことを確認しましょう。
もし、確認が万全ではなく、配線整理後に出社した同僚が使えない!となったらどうなるでしょう。
おそらく、配線整理担当者さんは、大変な労力をかけて配線整理作業を行いました。もしかすると、その翌日、同僚が出社するタイミングでは、出社していないかもしれません。そして、使えないトラブルが発生。その時に同僚が思うことは「配線整理担当は余計なことをした。私は仕事ができない。しかも、この場にいない、どうなってるんだ!」となります。
これでは、せっかくみんなのためにした仕事が、予想外に悪い評価を受けることとなります。これは避けなければなりません。また、配線は最初から最後まですべてつながってこそ、電気や通信が接続状態となります。念のために、思い込みを捨てしっかり確認するようにしましょう。
関連記事:「あれ?オフィスのOAタップが電気つかない」ときに確かめるべき4つのポイント
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この記事は、以下のケースに限定した解説記事になります。
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まとめ
配線整理は、オフィスの火災リスクを予防し、見栄えを整えるために大変重要な作業です。配線整理担当者となった方は、大変苦労されることと思いますが、ここにあるコツのいくつかをご活用いただければ、よりスムーズに配線整理を進めることができるかもしれません。もしよろしければ、ご活用ください。
また、ご紹介したような内容はやりきれない、難しい。とお感じの場合は、プロの配線整理専門業者に依頼を検討されて見るのはいかがでしょうか?配線業者は、その道一筋、配線を扱い続けてきたプロの工事人です。きっとお役に立てるはずです。
最近では、WEB見積ができる便利なWEB配線工事業者のマッチングサイトも登場しています。専任アドバイザーが、無料で相談・発注・マッチングしてくれるとのことなので、まずは相談してみるところから始めてみてもよいでしょう。