LANケーブルには「ストレートケーブル」と「クロスケーブル」があります。この2種類のLANケーブルについて、「仕組みや性能はどう違うのか?」「どのような場合に利用するのか?」につき、解説します。
ストレートケーブルとクロスケーブルは線の並べ方が違う
まず、ストレートケーブルとクロスケーブルは、線の並べ方が違います。
データを受信用と送信用のピンの配置が逆になっています。線の並べ方が違うだけで、それ以外の材質や形状は全く同じです。
ストレートケーブルとクロスケーブルは使い方が違う
ストレートケーブルとクロスケーブルは、使い方が違います。
例えば、LANケーブルを使い、PCとPCをつないでデータ通信をする場合、
- ストレートケーブルは「PCとPCを直接つなぐことはできません」
- クロスケーブルは「PCとPCを直接つなぐことができます」
ストレートケーブルで、PCとPCをつなぎたい場合は、どうするかといいますと、「PCとPCの間にルーターやHUBなどのネットワーク機器を挟む」ことで、データ通信をすることができます。具体的には以下のような流れになります。
- HUBを挟む場合
PC→ストレートケーブル→HUB→ストレートケーブル→PC - ルーターを挟む場合
PC→ ストレートケーブル→ルーター→ストレートケーブル→PC - ルーターとHUBを使う場合
PC→ ストレートケーブル→HUB→ストレートケーブル→ルーター→ストレートケーブル→HUB→ストレートケーブル→PC
クロスケーブルで、PCとPCをつなぎたい場合は、どうするかといいますと、「PCとPCを直接クロスケーブルでつなぐ」ことで、データ通信をすることができます。具体的には以下のような流れになります。
- 直接つなぐ場合
PC→クロスケーブル→PC
ストレートケーブルでもクロスケーブルでも、PCとPCをつなぐことはできますが、別途機器を必要とするのか、ケーブル単体でつなぐことができるのか、という点が違うということになります。
自動判別機能のHUBが登場し、接続ミスが大幅に減少
ケーブルとさらに機器の組み合わせをまとめますと、以下の通りとなります。
- PCとPCをつなげる、クロスケーブルで使う → 使える○
- PCとPCをつなげる、ストレートケーブルで使う → 使えない×
- PCとHUBをつなげる、クロスケーブルで使う → 使えない×
- PCとHUBをつなげる、ストレートケーブルで使う → 使える○
現在では、HUBやルーターなどのネットワーク機器は、ケーブルの種類を自動的に判別する「自動判別機能付き」が主流です。自動判別機能は、 オートMDI/MDI-X とも呼ばれています。
自動判別機能をつけたネットワーク機器を利用する場合の組み合わせは、以下の通りとなります。
- PCとPCを直接、クロスケーブルで使う → 使える○
- PCとPCを直接、ストレートケーブルで使う → 使えない×
- HUBを利用する、クロスケーブルで使う → 使える○
- HUBを利用する、ストレートケーブルで使う → 使える○
ケーブル種類自動判別機能の登場により、ほとんどのケースでケーブルの種類を気にせずよくなりました。LANケーブルの種類を間違えて、つながらない!となる接続ミスが大幅に減少するのはとても便利ですね。
ストレートケーブルとクロスケーブルの見分け方
ストレートケーブルとクロスケーブルは、使う材料等は全て同じであるため同じように見えます。しかし、少し難しいかもしれませんが、見分けることは可能です。
まずは、LANケーブル両端のコネクタ部分をよく見てみましょう。両端を同じ向きで揃えた時、両端とも同じ配色で並んでいれば「ストレートケーブル」、配色が異なっていれば「クロスケーブル」となります。
見分け方のコツは、LANケーブル両端の、抜け止めの爪を前面にそろえるか、背面にそろえるか。どちらでも大丈夫ですが、同じ向きにそろえるようにしましょう。違う向きにそろえてしまうと、結果が逆になってしまいます。
また、色は2本ずつでワンセットとなっています。片方がまだら、片方がべた。色の染まり方は2種類ですが同じ色です。これが4セット並ぶことになります。
ストレート:同じ配色 クロス:配色が異なる
クロスケーブルを使うのはどんな時?
現在ではストレートケーブルが主流となりましたが、オートMDI/MDI-X機能がない古い機種や特殊な機器を利用する場合は、クロスケーブルが必要な場合があります。 オートMDI/MDI-X機能が あるかどうかは、機器本体に記載がある場合や、機器マニュアルにも記載がありますので、もし通信がうまくつながらない場合は、ケーブル種類を変える必要があるかどうかも検討してみましょう。
昔の機器は、厳密といえるほど、ストレートケーブルとクロスケーブルを分けて利用しなければならないものです。
まとめ
現在は、LANケーブルの種類は、そのほとんどがストレートケーブルとなっています。ただ、すべてをストレートケーブルで賄うということはできません。
例えば、会社などで、古いアプリケーションを利用する都合上、古い機種や特殊な機器を使用せざるを得ない、という場合は、オフィス移転や経年劣化でのケーブル交換時に、本来クロスケーブルを必要とする場面で、ストレートケーブルを利用してしまい、うまくつながらないということが起こりうる可能性はあります。
通信がつながらない、というのは大変に戸惑うものです。そのような場合は、ケーブルの種類に着目してみるのもよいかもしれませんね。
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また、どうしても機器がつながらない、通信がつながらないという場合は、専門家に確認してみるのもよいでしょう。最近では、WEBでかんたんに見積をすることができる、配線工事専門のWEBサイトもあります。無料相談・無料見積から気軽にできる場合もありますので、困った際には利用してみるのもよいかもしれません。