「オフィス・店舗にBGMを流したい」
最近、オフィスや店舗でのBGM需要は増加しています。
ただ、家庭で音楽を流すのに比べ、オフィスや店舗に音楽を流すのは、なかなかハードルが高そうです。
家庭と違った機器が必要なかもしれません。工事が必要な場合もあるでしょう。
今回は、オフィス・店舗でBGMを流すにはどうすればよいのか?について解説をします。
この記事で知ることができるのは以下のような内容です
- 機器は必要なのか?
- どのような工事が必要か?
- 費用がどの程度かかるのか?
- どのような工事業者に依頼すればいいの?
本記事では、スピーカーや放送設備を設置するにあたって知っておきたいポイントや基礎知識をまとめました。初心者にもわかりやすい、工事業者の選び方についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
1)オフィス・店舗で音楽を流すためには「機器」が必要
まず、オフィス・店舗で音楽を流す際には「機器が必要」です。機器がなくては音楽を流すことはできません。ただし、家庭と違い、オフィス・店舗では、広い空間に音を流す必要があります。そのため、家庭用の機器とは違った機器が必要となります。
どのような機器・設備が必要か
オフィスや店舗で音楽を流す際には、最低限この3つが必要になります。
プレイヤーとは、USEN放送機器が以前は主流でしたが、最近はストリーミング再生が普及したため、スマホ・PCでの利用が最も多いです。こちらは、お客様ご用意ですので、今回の記事では省略しています。
スピーカーは最も目に触れる機会も多い機器ですので、なんとなくどんな機器かは想像がつくと思います。
アンプは、一般的には見えない位置に置かることが多い機器であり、どんな役割なのかもわからないという方も多くいます。
この2つの機器についてより詳細に解説をしてゆきます。
業務用スピーカーの種類
スピーカーには大きく分けて「露出型」「埋込型」「吊り下げ型」の3種類があります。
露出型スピーカー
天井や壁に金具で取り付けるタイプです。天井の低いオフィスや店舗に適しています。
四角いボックス形状のタイプが多く、音はスピーカー前面から出ますので、部屋の隅や壁際に取り付けることが多いです。
天井に取り付ける際は、取付金具を用いて取り付けることが一般的です。
壁に取り付ける際は、付属のフックを用いて取り付けることが一般的です。
付属のフックは無料で機器に添付されていることが多く、取付金具は5000-10000円程度の費用がかかるケースが多いため、費用感だけで考えれば壁掛の方が良いです。
ただ、壁掛の場合は、垂直の壁に、垂直にスピーカーを取り付けますので、音が真正面にしか出ません。そうなりますと、音の広がりがあまり良くないように感じられる場合もあるそうです。
最適な音の広がりを目指す場合は、費用はかかりますが、取付金具を用いて角度を調整した方が良い場合もあります。
埋込型スピーカー
天井に埋め込めるタイプのスピーカーです。シーリングスピーカーとも呼ばれ、目立たないように設置できます。
丸い形状のタイプが多く、天井に取り付けるため、音は頭の上から降り注ぐように出ますので、特に角度などを気にする必要はありません。
- スプリングタイプ:天井に穴をあけて、下からスピーカーを押し上げて設置します。その際にスプリング上のひっかけが広がり、スピーカーを固定します。
- 金具固定タイプ:天井のパネルを外し、天井裏に金具を設置します。天井パネルに穴をあけて下からスピーカーを入れて金具に固定します。
天井が取り外せるタイプのパネルであれば、金具固定タイプを。そうでない場合は、スプリングタイプの方が良いでしょう。
吊り下げ型スピーカー
天井に埋め込むタイプのスピーカーです。ペンダントスピーカーとも呼ばれ、天井の高いオフィスや店舗に適しています。
スケルトンタイプの天井の場合は、こちらのスピーカーが最もおすすめです。その理由は以下の通りです。
- 最適な高さに設置できる
- スケルトンタイプの天井内装にマッチする
吊り下げ型スピーカーは、あまり一般的でないため、多少価格帯は高めですが、それでも、他にはない設置方法とデザイン性で人気のスピーカーです。
業務用アンプの種類
業務用アンプには、以下のような違いがあります。
- ハイインピーダンスとローインピーダンス
- ハイインピーダンスの場合は接続できるワット数
- 接続できる系統数の違い
業務用アンプの選定には専門知識が必要なものもあり、簡単ではありません。スピーカーとアンプはセットで考える必要があり、さらに複雑になります。ただ、選定は可能ですので、ハイインピーダンスとローインピーダンスなどを含め以下に解説してゆきます。
2)オフィス・店舗に設置するアンプ・スピーカーの基礎知識と選定方法
スピーカーから出る音の大きさについて
スピーカーを設置する際に最も悩むのが「音の大きさ」です。音は目に見えるものではなく、また、オフィスや店舗の現場環境によりかなり変わるため、事前に把握するのは難しいです。
ただ、一般的には、以下の目安で考えるとよいでしょう。(dbとはデジベルと読みます)
- 75db 多少ざわつく空間:町中のカフェ(会話の合間に音楽も聞こえる)
- 80db 通常以上の声量が必要な空間:若者向けアパレルショップ(会話がやや聞こえづらい)
- 85db 音の演出店舗:スポーツバー・パチンコ屋(会話がだいぶ聞こえづらい)
一般的なオフィス・店舗では、75-80db程度の音量を出すことができるスピーカーを選ぶとよいでしょう。また、ほとんどのスピーカーはその基準を満たしていますので、最も低価格のスピーカーでも音量に関しては、心配ないケースが多くあります。(現場環境により異なります)
スピーカーの個数について
スピーカーの個数目安としては以下のケースがあります。
- 40㎡/12坪程度:スピーカー2個
- 60㎡/18坪程度:スピーカー3個
- 80㎡/24坪程度:スピーカー4個
また、スピーカーの個数は、お客様や社員が感じる音の心地よさによっても変化させる場合があります。スピーカーの遠くにいる人に音を届けたい場合は大きな音にする必要があります。しかし、その場合は、スピーカーの近くにいる人は音を大きすぎると感じてしまう場合があります。
そのため、以下のポイントも考慮しましょう。
- 小さ目の音で違和感なく音を全体につなげる:スピーカー数は多めにする
- コストと心地よさのバランスを取る:スピーカー数は通常
- コストを重視する:スピーカー数は少なめにする
また、部屋の形や天井の高さ、壁の材質や、スピーカー機器が壁掛・天吊りによっても変化しますので、正確なプランニングは専門業者に依頼した方が良い場合もあります。
スピーカー接続方式には、ローインピーダンスとハイインピーダンスがある
スピーカーの接続方式には、ローインピーダンスとハイインピーダンスがあります。
- ローインピーダンス:低コスト / スピーカーは4台まで
- ハイインピーダンス:通常コスト / スピーカーは5台以上も可能
ローインピーダンスとハイインピーダンスの仕組みは複雑なので、本記事では割愛しますが、上記のポイントだけ抑えておけば大丈夫です。
ローインピーダンスとハイインピーダンスの選び方
基本的にコストを考えなくて済むなら、ハイインピーダンスを選びましょう。
ただ、「4台以内だし、コストを下げられるのなら下げたい。」とお考えの場合はローインピーダンスを選びましょう。
ローインピーダンスを選ぶ際の注意点としては、設置後に5台以上のスピーカー台数にすることができないという点です。現在4台設置したものの、追加で1台増設して5台にする、ということができません(ローインピーダンス専用機を購入した場合)。
将来的な増設がない場合は、ローインピーダンスでよいでしょう。
ローインピーダンスアンプの選定方法
大雑把な解説になってしまいますが、ローインピーダンスアンプを選ぶ場合は、2台用と4台用がありますので、スピーカーの台数に合わせて選びましょう。ほとんどのケースで、台数が合うのであれば問題ないようになっています。
ただし、本来は、抵抗値等を考える必要がありますので、専門家のプランニングを受けた方が良いでしょう。
ハイインピーダンスアンプの選定方法
ハイインピーダンスの方式は、スピーカーの台数が多く設置できる方式です。そのため、アンプも小容量から大容量まで多くの種類があります。また、スピーカーの音の大きさ(Wワット数)によっても変化がありますので、専門家のプランニングを受けた方が良いでしょう。
3)オフィス・店舗に設置するアンプ・スピーカーの費用目安
それでは、オフィス店舗に設置する、業務用アンプや業務用スピーカーの機器や工事費用の目安はどの程度でしょうか?
業務用アンプ・業務用スピーカーの見積例
業務用アンプ・業務用スピーカーの設置に必要なのは以下の内容です。
- 機器費
- 工事費
一例として、スピーカー2台を設置する場合の見積費用をご紹介します。
業務用スピーカー2台を設置する場合の機器費・工事費の例
- 天井埋込型スピーカー 6,800円×2
- ローインピーダンスアンプ2台用 22,900円
- 基本派遣費:9,000円
- スピーカー取付作業費:9,000円×2
- スピーカー配線費:9,000円×2
- 天井裏配線費:9,000円
- アンプ設置費:9,000円
- 配線部材費:9,000円
- 合計:108,500円(税込119,350円)+諸経費
業務用スピーカー2台を設置する場合の工事作業内容
実際の工事は、当日現場では、一般的には以下のような流れで行います。
- 取付位置等の事前最終確認
- 天井パネルの取り外し及び穴あけ加工、スピーカー取付
- 天井裏配線作業および露出部分にはモールカバー
- スピーカー及びアンプへ配線のつなぎこみ
- 天井パネルの取り付け
- 最終テスト
工事時間の目安は2-3時間程度でしょう。
4)スピーカー・放送設備の設置は自分でもできる?業者に依頼した方がよい?
オフィス・店舗での設置は業者に依頼した方が安心
オフィス・店舗でのスピーカー設置を自分で行うことは絶対に不可能というわけではありませんが、業者に依頼するほうが望ましいでしょう。
家庭用のスピーカーとは違い、配線が複雑になりやすく壁や天井裏の配線工事が必要なケースも多いからです。普段は見えない場所でのケーブルの取り回しを適切に判断するには、プロに依頼するのがより確実といえます。
また、前述の通りアンプのワット数に適したスピーカーを選ぶことや、用途に合わせて適切な接続方式を選ぶすることも大切です。
スピーカーに対してアンプの出力が過大だと、スピーカーが破損してしまうことも考えられます。
さらにスピーカーの設置場所によっては、高所での取付作業や配線作業が必要になることもあるでしょう。
こうした作業を安全に行う観点からも、業者に依頼するほうが安心です。
「そもそも、どの業者に依頼すべきか見当もつかない」という人は、配線プロッタに相談を
どの業者に依頼するべきか見当もつかない場合は、配線プロッタまでお問い合わせください。
配線プロッタは、オフィス・店舗の配線工事専門のアドバイザーマッチングサービスです。国内の全地域に対応していますので、お近くの工事業者をご紹介できます。
Webからの相談・見積は最短10分で完了し、プロの電気工事業者の手配からその後スケジュール、保証期間内のトラブルに関しても一貫して担当します。信頼できる工事業者を見つけたい方、できるだけ手間をかけずに工事業者を決めたい方におすすめです。
5)スピーカー・放送設備の業者選びは、まず実績と拠点の近さで検討を
スピーカー・放送設備の業者を選ぶ際は、実績のある業者を選ぶこと・拠点の近い業者を選ぶことが大前提です。
オフィス・店舗での配線は一般家庭と比べて複雑になりやすく、過去に同様の工事を多数経験してきた業者でなければ適切な判断ができないことも少なくありません。
また、施工前に現地調査が実施されることを想定すると、オフィスや店舗の近くにある業者のほうが出張費を抑えることができるからです。
ただし、十分な実績があり拠点が近い工事業者の目星がすでについているケースばかりでもないでしょう。
現実的には、全く情報のない状態から業者を探し、依頼するべき業者を決めていくことが多いはずです。そこで、業者選びを進める際のポイントを紹介します。主なポイントは次の2点です。
- 比較検討できるように、まず2~3社に相談する
- 比較項目は、「実績・見積額・対応力・アフターサービス」
比較検討できるように、まず2~3社に相談する
信頼できる業者かどうかを見極めるには、複数の業者に相談することが大切です。2〜3社の業者に相談し、見積を出してもらいましょう。
業者の探し方として、インターネットで検索する方法が挙げられます。
位置情報を活用して、オフィスや店舗から近い工事業者を優先的に探していきましょう。各業者のWebサイトにて、スピーカー・放送設備の工事に対応しているか、オフィスや店舗の施工事例が掲載されているかを確認しておくことが大切です。
あるいは、オフィス・店舗を担当する不動産会社や内装業者から工事業者を紹介してもらえる場合もあります。ただし、紹介料や仲介料を請求されるケースもありますので、事前に条件をよく確認しておくことをおすすめします。
比較項目は、「実績・見積額・対応力・アフターサービス」
比較項目 | 説明文 |
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実績 | オフィス・店舗の施工実績が豊富な業者かどうかを必ず確認しましょう。 累積施工件数や最近の施工例などがWebサイトに掲載されていれば、より信頼できる業者と判断できます。 また、スピーカー・放送設備に関する工事の事例があるかどうかもチェックしておくことが大切です。 音響設備の工事を得意とする業者もありますので、工事内容に関する実績をよく確認しておきましょう。 |
見積額 | 各業者から提示された見積書を比較しましょう。 見積りの合計額はもちろんのこと、内訳もしっかりと確認しておくことが大切です。 費目に不明点があれば必ず問い合わせ、見積額の根拠を把握しておく必要があります。 信頼できる工事業者であれば、問い合わせに対して納得できるよう丁寧に説明してくれるはずです。 問い合わせても明確な答えが返ってこなかったり、明らかに他業者よりも見積りが高額だったりする場合は注意しましょう。 |
対応力(スピード・現地調査の有無等) | 相談から現地調査・見積りまでの対応力も業者の信頼性を判断する上で重要なポイントです。 対応が迅速で丁寧な業者には、依頼が多く集まる傾向があります。 逆にレスポンスが遅い業者や対応が雑な業者は、サービス面まで手が回っていないと考えられるのです。 現地調査を必ず実施しているかどうかも見極めましょう。 経験豊富な業者ほど、オフィス・店舗の構造によって工事内容が変わることを熟知しています。現地調査を重視しており、慎重に対応する業者ほど信頼性が高いと考えてよいでしょう。 |
アフターサービスの有無 | 工事の完了後、点検や再工事に応じてもらえるかどうかもチェックしておくことが重要です。 スピーカーや放送設備は、使い続けている中で「音が鳴らなくなった」「ノイズが入る」といったトラブルが起こり得ます。 トラブル発生時には、すみやかに対応してくれる業者かどうかは重要な見極めポイントといえるでしょう。 Webサイト上で「アフターサービスは万全です」と謳っている場合も、具体的に何をいつまでフォローしてくれるのかを十分に確認しておく必要があります。 |
スピーカー・放送設備を初めて業者に依頼する場合、上記のポイントを的確に判断するのは決して簡単なことではありません。だからこそ複数の業者に相談して比較検討し、より対応の良い業者を選ぶことが大切です。
まとめ)スピーカー・放送設備の工事は専門業者に依頼することが大切
オフィス・店舗のスピーカー・放送設備は、家庭用スピーカーと比べて複雑な仕組みになっています。配線の取り回しや機器の規格など、注意するべき点が少なくありません。
自分で設置することが絶対に不可能というわけではありませんが、専門業者に依頼して工事するほうが安心です。
今回紹介してきた業者選びのポイントを参考に、信頼できる工事業者をじっくりと見極めましょう。
スピーカー・放送設備に必要な機材・設備やおおよその費用感を事前に把握し、信頼できる業者選びに役立ててください。