クラウドPBXって最近よく聞くけどいいの?
近年、クラウドPBXのサービスが増えています。大手が展開するサービスから小規模のサービスまで数多くのサービスが登場していますが「まだ使ったことがない」という方も多く、「当社の場合は、導入したほうが良いのか?」と迷う方も多いようです。
ビジネスホンってもうダメなの?
ビジネスホンとは、オフィスを中心に店舗・工場・学校などさまざまな場所で使われている業務用の電話設備です。クラウドPBXという新しいサービスの登場によりビジネスホンはもう不要になったのでしょうか?
今後はクラウドPBXか?ビジネスホンか?を、会社によって見極める時代に!
クラウドPBXは電話サービスですが、ビジネスホンとはまた違う側面を持ちます。その両方にメリット・デメリットがあるため、一概にクラウドだから良い!とは言い切れませんし、ビジネスホンでなければいけない!とも言い切れません。
あくまで自社にあったサービス・機器はどちらか?をよく見極める上でも、メリット・デメリットを慎重に比較する必要があります。
ビジネスホンは中古がオススメ!「中古ビジネスホン」という新しいジャンル
ビジネスホンは、通常、多額のコストが発生します。しかし、このコストが「ぐっ」と下がるとどうでしょう?ビジネスホンの機能はそのまま、コストメリットがアップすることとなります。ビジネスホンは、業務用機器としてかなりの耐久性があることに加え、中古として利用することで価格が大幅に下がるため、新たな活用方法として注目されつつあります。
このブログでは、新しい「クラウドPBX」と新しい「中古ビジネスホン」のメリット・デメリットを比較し、実際はどちらがよいのか?を検証してゆきたいと思います。
クラウドPBXとビジネスホンの基本的な説明
クラウドPBXとは?
まずPBXとは、電話交換機の略称で、ビジネスホンシステムとほぼ同義です。そして、クラウドPBXとは、通常はオフィスに置くPBXを、クラウド上に設置した電話サービスのことです。クラウド上にあるとはいえ、一般的なビジネスホンと同様の使い方をすることができます。
クラウドPBXの大きな特長は「費用」です。これまでのビジネスホンはリースなどの分割払いという方法もありましたが、原則、多額の機器を購入する方法しかありませんでした。これに対し、クラウドPBXはサービスであるため「機器の購入が不要で、月額払いのみでOK」です。この点が最も大きな違いです。
また、アプリでの利用が可能なため、手持ちのスマホをビジネスホンとして使えるということも大きな特長です。この機能は、ビジネスホンにもありましたが、ライセンスやオプション機器が必要で利用しづらいものであったため、手軽に使えることは大きなメリットです。
ビジネスホンとは?
ビジネスホンとは、複数の外線と複数の内線を効率的につなぐことができる業務用の電話機です。家庭では、携帯電話の普及により家庭用電話機は徐々に利用が減少しつつありますが、会社では、代表電話としては、これまで通りビジネスホンを使うケースが一般的です。
また、受付電話機からの呼び出しを受ける、社内の社員同士で通話する、などの用途でもビジネスホンは利用されています。
中古ビジネスホンとは?
新品ビジネスホンとしての利用後、倒産やリースアップなどの理由で、比較的新しいものが整備され、市場に流通します。これが中古ビジネスホンです。
中古ビジネスホンは、これまで多くの場合で増設用の電話機として利用されていました。新品導入後、しばらくしての増設には、わざわざ新品を導入する必要がなかったためです。
ただ、最近は、ビジネスホンを新規導入する際に、新品ビジネスホンではなく、中古ビジネスホンを選択するということも増えてきました。それは、中古ビジネスホンを整備・流通する市場ができ、安定して中古ビジネスホンを入手できるようになったことも1つの要因です。
また、中古ビジネスホンの費用としては、新品ビジネスホンの辺30%から50%程度と、かなり安く抑えらます。また、中古であっても一般的な機能は新品ビジネスホンに比べて劣りません。さらに、中古で導入してから、5年以上など長期間の運用が可能なのが中古ビジネスホンの大きな特長で、コストメリットを大きく活かすことができます。
クラウドPBXと中古ビジネスホンのコスト比較
まずは、もっとも気になるコスト比較から見てみましょう。下記のケース内容で比較をしています。初期費用と月額費用を算出し、4年利用・8年利用で比較しました。
ケース内容
- クラウドPBXは大手G社
- 中古ビジネスホンは NTTのαA1(中古ビジネスホンですが、型式は非常に新しく現在NTTでも新品で販売している現行機です。さらに、LAN配線でビジネスホンを利用できます)
- 台数は5台
- オフィス移転コストやメンテナンスコストは含まず
- 中古ビジネスホン機器は、大手の「美品宣言★」(2022年2月)価格です
- 中古ビジネスホン工事費は、配線プロッタ(2022年2月)価格です
年間コストメリット比較表
コストメリット計算根拠
4年利用では、クラウドPBXと比べて中古ビジネスホンに約40万円のコストメリットがある
計算の結果、クラウドPBXに比較して中古ビジネスホンの方が、コストメリットがあることが分かりました。
- 中古ビジネスホンの初期費用はクラウドPBXの初期費用よりも高いが、約8ヶ月程度で初期費用コスト差がなくなる
- 9ヶ月目以降は、クラウドPBXのコストがかかり続ける
ただし、以下の場合は、中古ビジネスホンのコストメリットは減少します。
- ビジネスホンが故障した場合
- オフィス移転などをする場合
厳し目に見て、2年に1度、電話機が故障する。4年に1度オフィス移転をする。と仮定し、費用を再計算したところ、ビジネスホンのコストメリットは減少しました。
なお、故障修理費は20,000/1回とし、オフィス移転費用は、上記ビジネスホンの設置費用がもう1度かかるものとします。
中古ビジネスホンのコストメリットは減少しましたが、それでも上記のコストメリットが残る結果となりました。
また、上記以外に、クラウドPBXでは機器購入費用がかかる場合があります。その場合は、中古ビジネスホンのコストメリットが増加します。その内容はクラウドPBXのデメリットにてご説明します。
クラウドPBXのメリット
それでは、中古ビジネスホンと比較した、クラウドPBXのメリットを見てみましょう。
①スマートホンに対応しているため、外でビジネスホンを使える
クラウドPBXは、スマートホンをビジネスホンとして利用することができます。社外でもビジネスホンが利用でき、ビジネスチャンスを流しません。また、社内に電話機を置く必要がないため、フリーアドレス制のオフィスやリモートワークなどにマッチします。
②増設・移設がしやすい、メンテナンス不要、工事不要
クラウド上のサービスであるため、増やす・減らすがしやすく、こまめに管理することで最適なコスト管理が可能です。ビジネスホンのように、機器を購入する必要がないため、使わなくなった。というような無駄がありません。また、クラウドサービスのため、ビジネスホンのように機器が故障して使えないということはほとんどありません。
③クラウドならではの機能がある
例えば以下のような機能はクラウドPBXならではのメリットです。
- クラウド上で電話帳を共有できる機能
- ビジネスホンのように社内機器が不要なので災害時にも通話可能
- 発着信履歴をWEBで確認できる
クラウドPBXのデメリット
①クラウドPBXの初期費用として、機器を購入しなければいけない場合がある
クラウドPBX導入時には、サービスとしての初期費用がかかります。しかし、意外にも、初期段階で機器費用がかかる場合があります。
機器としての初期費用がかからない場合
- クラウドPBXに対応したスマートホンを、すでに人数分持っている
- PCでクラウドPBXを利用し、さらにヘッドセットをすでに持っている
- 社内にてスマートホンで利用する場合、無線LANルーターの機能が十分である
機器としての初期費用がかかる場合
- 以下の場合は、スマートホンの購入が必要な場合があります
- スマートホンを持っていない、台数が人数に対して不足している
- スマートホンが古いためクラウドPBXのアプリにバージョン対応できない
- スマートホンの性能が低く、通話に支障をきたす
- 以下の場合は、ヘッドセットの購入が必要な場合があります
- PCでクラウドPBXを利用したいが、ヘッドセットは持っていない
- 以下の場合は、IP電話機用の電話機が必要な場合があります
- 電話機でクラウドPBXを利用したいが、IP電話用の電話機は持っていない
- 以下の場合は、無線LANルーターの購入が必要な場合があります
- 社内にてスマートホンで利用する場合で、無線LANルーターの機能が不十分
- 以下の場合は、クラウドPBX事業者指定の機器購入やレンタルが必要な場合があります
- 現状の電話番号を、引き続き利用したい場合
- そもそもクラウドPBXを利用する上で機器が必要なクラウドPBXサービスの場合
- 初期設定を依頼した場合は、出張作業費用
機器として継続費用がかかる場合
- 以下の場合は、3年程度での買い替えサイクルのため買い替え費用が発生する場合があります
- スマートホンを利用する場合、スマートホンの買い替え費用
- ヘッドセットを利用する場合、ヘッドセットの買い替え費用
クラウドPBXだからといって、完全に機器が不要、というわけではない
クラウドPBXといいますと、ビジネスホンと比較して「機器が不要」というイメージがありますが、やはり電話ですので機器は必要です。また、スマートホンは持ち運びができるため落とすなどの可能性もあり、消耗スピードも早いため、ビジネスホンよりも高サイクルで買い替える必要がありそうです。
クラウドPBXを導入する場合は、このような「隠れた費用」もあることを知っておくべきでしょう。
②音質が安定しない場合がある、外ではネット環境がないとつながらない
クラウドPBXの通話品質は昔と比べて大変向上しつつあります。ただ、スマートホンなどの無線端末で使う場合は、どうしても固定回線と比べて通話品質は不安定です。今後は、5G も本格的に普及することになりますが、そうであっても、無線が完全に切れない状況になるのは少し先の時代でしょう。
クラウドPBXを利用している方が「外出先で電話が切れてしまうことがある」という理由で、ビジネスホンに戻す、ということも事例もあります。電話が切れる可能性は、ビジネスにおいては避けたいところです。スマートホンでクラウドPBXを利用する場合は、無線であるという事実を認識し、検討材料にそのようなリスクも入れた上で導入を検討しましょう。
③ビジネスホンとは使い勝手が違うところがある
スマートホンでの長時間通話
スマートホンでの長時間通話には、耳が痛くなるなど、心理的な抵抗があるという人もいます。ビジネスホンは受話器があり通話がしやすいため、もし現在ビジネスホンを利用中でスマートホンへ切り替える場合には、利用する社員の方への説明は事前に行ったほうが良いかもしれません。
電話機全体よりもスマートホンは画面が小さい
現在、ビジネスホンを利用中の方はご存じですが、ビジネスホン電話機には多くの外線ボタン、プッシュボタンやディスプレイもあります。スマートホンの場合は、このすべてのボタンなどをスマートホンの小さな画面で表示しなければなりません。
ビジネスホンのすべての機能がクラウドPBXにあるとは限らない
ビジネスホンは長年の歴史があり、非常に多機能です。そして、どの機能を使っているのかを、ビジネスホンの工事業者は把握していても、社内の方で、把握しているという方は少ないでしょう。もし、重要な機能・使い勝手の良い機能がクラウドPBXにない場合は、困る場合もあります。
クラウドPBXの機能はほとんどビジネスホンにある機能
クラウドPBXには多くの機能があるとされていますが、そのほとんどが現状のビジネスホンにある機能です。そのため、通常のクラウドPBXには、ビジネスホンを上回る機能は少ないのが現実です。例えば以下のような機能はすでにビジネスホンにはある機能です。
- 会議電話(複数人での電話)
- IVR機能(着信電話に音声ガイダンスを流す機能)
- 営業時間外ガイダンス
- 自動通話録音
他に、下記のような機能を提供しているクラウドPBXもあります。こちらは、ビジネスホンの機能ではないため、必要な方にはメリットでしょう。
- チャット機能
- ファイル共有
これからの電話に関する使い分けをご提案
これまでクラウドPBXと中古ビジネスホンのメリット・デメリットの比較を見てきました。ただ、これはどちらかが良いというものではなく、状況に応じて使い分けをできるという選択肢が増えたものという見方もできます。
今の時代は、スマートホン・携帯電話の通話し放題サービスも登場し「クラウドPBXだけ・中古ビジネスホンだけ・スマートホン/携帯電話だけ」ではないかもしれません。
ご提案① 通話し放題スマートホン+中古ビジネスホン
以下のようなメリットがあります
- 基本は、社員携帯で取引先と電話
- 社内にも、一応、ビジネスホンを置く。ただし、メインでの利用ではないので中古でよい
- 以下のような場合にビジネスホンが役立つ
- 携帯を持っていない社員でも電話が使える
- 携帯を忘れた社員がいるときでも使える
- 受付電話機がある会社は役立つ
- 代表番号が社内にあるという安心感
- 非常時に携帯電話がつながりにくい時でも固定回線は通じる可能性がある
ご提案② 通話し放題スマートホン+クラウドPBXを小数契約
- 基本は、社員携帯で取引先と電話。
- 内線番号が不要な社員は、クラウドPBXの契約に含めない
- 以下のような場合にクラウドPBXが役立つ
- オフィスがない、もしくは、リモートワークがメイン
まとめ
クラウドPBXサービスが多く登場し、導入者数も増加しています。ただ、さらに新しい選択肢として「中古ビジネスホン」を加えることで、検討の幅も広がるのではないでしょうか。
最近では、新規導入・増設・オフィス移転にかかわらず、WEBで簡単にビジネスホンの機器と工事の見積もりを取ることができる見積もりサービスが登場しています。もしよろしければ相談から気軽に始めてみても良いかもしれません。
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