ハーネスOAタップとは、オフィスで使うタイプのOAタップ
ハーネスOAタップは見た目は通常のOAタップです。一般的なコンセントを差し込んで給電することができます。ただ、コンセントを差し込む部分とは反対側がコンセントタイプではありません。よって、そのまま壁のコンセントなどに差し込んでは使えません。そのため、壁のコンセントに差し込んで使うという目的で購入した場合、使うことができません。
少し特殊なOAタップになりますが、こちらはオフィスで利用する上では大変便利なOAタップとなります。今回は、ハーネスOAタップと家庭用の通常OAタップの違いを中心に、なぜハーネスOAタップがあるのかを解説します。
家庭用とオフィス用のOAタップの違い
この記事ではこの2種類のOAタップを以下の呼称で用います。
- コンセントOAタップ → 一般的なOAタップ、壁のコンセントに差し込めるもの
- ハーネスOAタップ → 特殊なOAタップ、壁のコンセントには差し込めないオフィス用のOAタップ
まずは、イラストで2つの違いを見てみましょう。
まず、どちらも機器側は変わりません。同じような差込口が並び、両方とも一般的な電子機器を差し込むことができます。
次に壁側を見ると形が違います。コンセントOAタップには、コンセントが出ています。壁にあるコンセントに差し込むことができます。ハーネスOAタップの場合はどうでしょう。下の写真を見ると、2本の金属棒がなく、ハーネス専用の形状をしていることが分かります。
この部分が、コンセントOAタップとハーネスOAタップの大きな違いです。
コンセントOAタップは、2本の金属棒がまっすぐ並んでいるだけで引っかかりはありません。そのため、抜き差しは簡単ですが、予期せず抜けてしまう場合があります。ハーネスOAタップは、差し込む側が凹、差し込まれる側が凸となっているため、1度差し込むと簡単には抜けないロック式となっています。予期せず抜けることはないですが、日常で抜き差しはしづらいでしょう。
ではなぜ、ハーネスOAタップは1度差し込むと抜けにくい構造になっているのでしょうか。それは、家庭用OAタップと違う使い方を想定しているためです。ハーネスOAタップは、見た目は通常のOAタップですが、使い方としては壁のコンセントのような使い方です。壁のコンセントを部屋の中央に持ってくるようなイメージです。
壁のコンセントは1度壁に取り付けると、壁から外しません。同様に、ハーネスOAタップは1度設置すると、ハーネスOAタップを電気回線と離すことはありません。またつけたり外したりというのは便利ですが、電気は性質上、発火し火事につながる可能性があります。そういう点でも、簡単には取り外しにくいという仕様を想定しているため、このような形状なのです。
ハーネスOAタップを使う場所は?
主に広い部屋で使うとよいでしょう。オフィスなどは広い空間であるため、ハーネスOAタップが活躍します。逆に狭い部屋で、壁にコンセントボックスが設置できるのであれば、そちらの方が使い勝手は良いかもしれません。
ハーネスOAタップには様々な形状があり、ボックスタイプのようなものや、床に埋め込むタイプのようなものがあります。そのため、部屋の形状や用途に応じて、さまざまな使い方が可能です。
ハーネスOAタップは何と接続するの?
ハーネスOAタップを使うルートは、下記のとおりです。
ハーネスOAタップ
↓
ハーネスジョイントボックス
↓
VVFケーブル
↓
配電盤
配電盤とは、住居やオフィスにある下記のようなものです。
この配電盤は、表側の見える枠を外すことで、内部のブレーカースイッチの個所にVVFケーブルを接続できます。そのVVFケーブルを室内まで通して、ハーネスジョイントボックスをつけることで、ハーネスOAタップを使う準備ができます。実は、壁のコンセントも同じルートをたどって設置されているのです。
ハーネスOAタップの増設が必要なケースとは?
最近は、電子機器の普及によりこれまでより多くの電力消費が行われるようになりました。その結果、過去のコンセント容量では不足し、配電盤からブレーカー1つ分(1回路)の増設を必要とすることが増えています。
一般的には、ブレーカースイッチ1つにつき1500W程度の電力供給が可能です。この1500Wを超えると、過電流となり、過負荷を抑えるために電力供給を強制ストップします。これがブレーカーが落ちるという現象です。つまり、ブレーカーが現状落ちることがある場合は、1500W以上の電力を必要としている電子機器をつないでいるということになるため、回路増設する必要があります。
ちなみに、各電子機器の消費電力は下記のような一例です。
デスクトップPC本体 150W~300W
デスクトップPCモニタ 10W~40W
スマホ充電器 5W~10W
卓上扇風機 10W~30W
一般的には、PC4~6台程度の島で1回路必要となりますので、壁のコンセントを使わずにPC20台程度を設置する場合は5回路ほど引くほうが良いでしょう。PC以外にさまざまなアクセサリを利用する場合は、少し余裕を持った電力計算をしたほうが良さそうです。
多少、工事代はかかりますが、PCが突然シャットダウンして、データが消えてしまうとせっかくの作業努力も台無しになります。こういったインフラ設備の不具合は、火災などを重大な事故の原因となる場合があるため、問題が起こる前に対策をしてゆくほうが良いでしょう。
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ハーネスOAタップは自分でも設置できるの?
設置されているハーネスジョイントボックスにハーネスOAタップを挿したり抜いたりすることは、電気工事士の免許は不要なためどなたでも作業は可能です。
ただし、ジョイントボックスからVVFケーブルを挿したり抜いたりすることは、ショートして火災の原因となる可能性があるため、電気工事の免許が必要となります。
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まとめ
ここまでで、ハーネスOAタップとコンセントOAタップの違いをご説明してきました。ハーネスOAタップは壁コンセントの固定的な役割を持ちながら、広いオフィスのどこにでも設置できる大変便利なものです。ただ、固定的な役割であるため、増設の際には、電気工事免許が必要になるケースがあるということもポイントになります。長期的な目線で電源計画を立てて、危険のないオフィス電気利用に努めたいものですね。
また、これまでは電気工事というと「敷居が高い」「難しそう」「高額」というイメージがありました。最近では、WEBで簡単に電気工事の業者手配を、まずは無料見積から相談できるサービスが登場しています。危険な状態を長く続け、一度に高額な工事費用をかけるよりも、定期的に電源計画を見直し低額費用で危険のない電源利用を検討してみるのもよいかもしれません。