- 1 電話用ケーブルとインターネット用ケーブルは「統合できます」
- 2 ビジネスホンは進化してLAN対応できるようになった
- 3 電話とインターネットが社内LANで統合するとどうなるの?
- 4 既にビジネスホンを利用している場合は、機器交換が必要な場合があります
- 5 NEC AspireUXの電話線タイプ電話機を利用していてLAN配線タイプに交換する場合
- 6 NTT αA1の電話線タイプ電話機を利用していたLAN配線タイプに交換する場合
- 7 LAN配線タイプの電話機を利用する場合の注意点
- 8 ビジネスホン内蔵のルーターユニットを利用する(簡単) の場合
- 9 一般的な外付けルーターを利用する(難しい) の場合
- 10 まとめ
電話用ケーブルとインターネット用ケーブルは「統合できます」
オフィスで最も利用されている通信方法には、電話とインターネットの2つがあります。この2つはケーブルの種類が違うので、別々に配線をしなくてはいけません。と、工事店より説明された方もいるかもしれません。ただ、2種類のケーブルを配線する場合は、費用も掛かりますし、何よりごちゃごちゃします。
この2種類のケーブルは、本当に別々に配線しなくてはいけないのでしょうか?
答えは「統合することができます」が、「統合しないほうが良い場合もあります」です。これはどういう意味かを、本記事で解説していきます。
ビジネスホンは進化してLAN対応できるようになった
ビジネスホンとは、多くの電話外線と多くの内線電話機を結びつけるシステムで、主にオフィスや店舗で利用される機器です。この機器で利用するケーブルは、基本的には2極2芯か4極4芯のケーブルとなります。
また、インターネット用のケーブルにはLANケーブルが一般的に用いられますが、こちらはより多くのデータを転送できるように8極8芯のケーブルとなるため、電話用のケーブルとは違う形になります。
オフィスにおいては電話ケーブルとLANケーブルの2種類の配線をすることが一般的でしたが、最近になり、LAN対応電話機というものが開発され、普及するようになりました。
これは、電話回線が、アナログ・ISDN回線という旧タイプのものから、光ファイバーを利用したひかり電話へと進化しているためです。電話機用のケーブルも同時に新タイプへと進化してゆこうとしているのです。
電話とインターネットが社内LANで統合するとどうなるの?
社内の通信用ケーブルは、LANケーブル1種類で統合され、そのケーブル内を電話とインターネットのデータが行き来するということになります。配線コストは削減され、配線の種類も少なくなるため、管理の手間も少なくなります。非常に大きいメリットが得られることになります。
いいことづくめに思えますが、デメリットはないのでしょうか?
もちろん、導入する会社ごとの状況等もあるとは思いますが、配線という点に関しては、利用上のデメリットとして特筆するような点はないように感じられます。
ただし、このような新しいシステムを導入するときは、旧来のシステムとの兼ね合いなどの導入時の注意点はいくつかあります。
既にビジネスホンを利用している場合は、機器交換が必要な場合があります
新規にビジネスホンを導入する場合は、LAN配線タイプか電話線タイプかを選択することができますが、すでに電話線タイプのビジネスホンを導入済みの場合は、電話線タイプのビジネスホンのままで、LAN配線を利用できません。
既存ビジネスホンでLAN配線を利用できるかどうかは、以下の2段階で考えましょう。
- メーカーとシリーズがLAN配線タイプに対応しているか?
- 電話機端末と内蔵ユニットとライセンスがLAN配線タイプのに対応しているか?条件を満たしているか?
まず、LAN配線タイプに対応しているメーカー名とシリーズ名を一覧にしました。この一覧よりも古いシリーズをのビジネスホンを利用している場合は、LAN配線タイプにできないか、できるとしても販売終了しているなどで現実的には難しいかもしれません。なお、今回の記事は、約40台以下の小型中型ビジネスホンのみを対象としています。
メーカー名 | シリーズ名 |
NEC | AspireX/AspireUX/AspireZX |
SAXA | PLATIA/PLATIAⅡ/PLATIAⅡV |
NTT | αNX/αNXⅡ/αN1/αZX/αA1 |
日立 | ET-iF/ET-Si |
ナカヨ | NYE-iF/NYC-Si |
岩通 | LEVANCIO/FRESPEC |
次に、電話機端末と内蔵ユニットがLAN配線タイプに対応しているかということですが、すべての電話機端末と内蔵ユニットの型番を記載はできないため、今回は例として、いくつかのパターンを解説します。
NEC AspireUXの電話線タイプ電話機を利用していてLAN配線タイプに交換する場合
NEC AspireUXの電話線タイプ電話機で最も普及しているのが「DTZ-24D-2D」電話機です。こちらをLAN配線タイプに「8台」交換する場合には以下の3つが必要です
- LAN配線タイプ電話機である「ITZ-24D-2D」電話機を8台
- 内蔵VOIPユニットである「IP5D-VOIPDB-E1」を1枚
- 内蔵ルーターユニットである「IP5D-RTU-B1」を1枚
- ライセンスである「IP5D-8PTEL」を1点
DTZ-24D-2D電話機は、利用しなくなるため保管もしくは売却となります。また、電話線タイプとLAN配線タイプの併用は可能ですので、増設分だけはLAN配線タイプ電話機を利用するということも可能です。
上記の例は、台数を増やさず、電話線タイプとLAN配線タイプを同じ台数で交換という場合ですので、台数が変わる場合は、別の機器やユニット、ライセンスが必要になる場合があります。
NTT αA1の電話線タイプ電話機を利用していたLAN配線タイプに交換する場合
NTTαA1の電話線タイプ電話機で最も普及しているのが「A1-(18)STEL-(2)」電話機です。こちらをLAN配線タイプに「8台」交換する場合には以下の1つが必要です
- LAN配線タイプ電話機である「A1-(18)IPTEL-(2)」電話機を8台
NTTαA1は、電話の外線も内線もLAN対応を想定して設計されているので、LAN配線タイプ電話機を利用する場合は、特に別途機器やライセンスを購入する必要がなく大変便利です。中古でも購入が容易に可能であるため、お勧めのシリーズです。
A1-(18)STEL-(2) 電話機は、利用しなくなるため保管もしくは売却となります。また、電話線タイプとLAN配線タイプの併用は可能ですので、増設分だけはLAN配線タイプ電話機を利用するということも可能です。
上記の例は、台数を増やさず、電話線タイプとLAN配線タイプを同じ台数で交換という場合ですので、台数が変わる場合は、別の機器やユニット、ライセンスが必要になる場合があります。なお、NTTの場合は、同じ型番電話機でも別のシリーズ主装置につけられるという場合があるので、上記はαA1主装置に接続する場合に限定してのケースとなりますのでご注意ください。
LAN配線タイプの電話機を利用する場合の注意点
大変便利なLAN配線タイプの電話機ですが、1つ大きな注意点があります。それは「ルーターをどうするか」です。
これまでは以下の2つは別々のシステムでした
- 電話(ビジネスホン)
- ネットワーク(インターネット・社内LAN)
今後は以下の1つにまとまります
- ネットワーク(ビジネスホン・インターネット・社内LAN)
ネットワークの一番大切な部分は「ルーター」という機器です。ビジネスホンとネットワークを統合する上でルーターの位置づけは2通りあります
- ビジネスホン内蔵のルーターユニットを利用する(簡単)
- 一般的な外付けルーターを利用する(難しい)
それぞれについて、メリット・デメリットを見てゆきましょう。
ビジネスホン内蔵のルーターユニットを利用する(簡単) の場合
この方法は、以下のような方にお勧めです。
- インターネットや社内LANの利用方法は複雑ではない
- インターネットや社内LANの設定は全て工事業者にお任せしたい
ここでいう複雑は例えば以下のようなものです。
- 固定IPを利用している
- ルーターのポートフォワーディング設定等を入れている
この方法を利用する場合は下記の機器構成となります。
- ルーターは既存の機器を利用せず、ビジネスホン内蔵のルーターを利用する
- インターネットも電話機もこのビジネスホン内蔵のルーターを経由する
- プロバイダ情報もこのビジネスホン内蔵のルーターへ設定する
この方法を利用する場合は、電話工事業者がルーターの設定を行います。利用者はルーターの設定を行うこともできますが、ビジネスホン利用のための設定も入っているため注意して設定することが必要です。
この方法のメリットは、電話工事業者のみでネットワーク統合ができる点です。次の方法では、1つの業者では設定しきることはできない場合が多いです。
一般的な外付けルーターを利用する(難しい) の場合
この方法は、以下のような方にお勧めです。
- インターネットや社内LANの利用方法が複雑である
- インターネットや社内LANの設定は自分たちで行う、もしくは専門業者に任せたい
この方法を利用する場合は下記の機器構成となります。
- ルーターは外付けルーターとして、既存の機器、もしくは、ビジネスホンメーカー指定のルーター(YAMAHAルーターである場合が多い)を利用し、ビジネスホン内蔵のルーターは利用しない
- 外付けルーターには、ビジネスホン利用ができるような設定をする必要がある。それに合わせて、ビジネスホン内蔵のVOIPユニットを設定する必要がある
- インターネットも電話機もこの外付けルーターを経由する
- プロバイダ情報もこの外付けルーターへ設定する
この方法を利用する場合は、利用者もしくはネットワーク工事業者が、ビジネスホン工事業者の指定した設定内容をルーターに設定します。同時に、ビジネスホン工事業者は利用者もしくはネットワーク工事業者が、ネットワーク利用のためにルーターに入れている設定内容に基づき、ビジネスホンのVOIPユニットを設定します。
この方法のメリットは、既存のネットワーク利用方法を活かしたまま、電話とインターネットのネットワーク統合ができる点です。
デメリットは、電話工事業者のみではネットワーク統合ができない点です。ただし、利用者側で特に指定がなければ、電話工事業者側で専門のネットワーク設定業者を呼び同時に設定する、もしくは、ネットワークに詳しい電話工事業者もいますので1人で設定してしまうことも可能です。どのような方法が良いかは、電話工事業者と相談してみましょう。
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まとめ
ここまで、ビジネスホン配線と社内LAN配線の統合について解説しました。利用者の利用方法はさまざまであるため、記載内容以外に注意すべき点は多くあります。本記事は特に注意すべき点のみ記載しましたので、実際に導入する際は、工事業者とよく相談して検討しましょう。
NTTのαA1というシリーズは、中小企業が電話外線・内線を全てLANで配線する場合には、とても便利で、LAN配線統合へのハードルを大きく下げた機種です。電話機20台以下の場合で、シンプルなインターネット・社内LAN利用の場合は、特にお勧めできますので導入を検討してみましょう。
上記以外の場合でも、WEB見積ができる配線工事専門店なら、さまざまな相談に乗ってもらえる可能性がありますので、無料で相談できるサイトへ問合せしてみるのもよいでしょう。
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