ひかり電話とはNTT東日本・西日本の電話サービスです。近年、これまでの「アナログ・デジタル(ISDN)」から「光ファイバー」の電話サービスへ切り替わりつつあります。ひかり電話は、光ファイバーを使った電話サービスの中で最も多くの利用者がいます。
このひかり電話には、下記の種類があります。
- ひかり電話
- ひかり電話オフィス
ひかり電話は一般的な家庭用を想定しています。そのため、最大でも2通話しか利用ができません。ただ、ビジネスが拡大すると3通話以上の利用が必要になる場合もあります。その場合は、ひかり電話オフィスへの切り替えが必要になります。
ひかり電話オフィスは法人用の電話サービスであるため、家庭用のひかり電話とは利用方法が大きく異なります。ひかり電話から、ひかり電話オフィスへ切り替える際に「うまく切替の工事が完了しなかった」ということもあるため、注意が必要です。
今回はこのひかり電話から、ひかり電話オフィスへと切り替える際に知っておきたい4つの注意ポイントをご紹介します。
※ひかり電話オフィスには、ひかり電話オフィスタイプとひかり電話オフィスエースの2種類があります。その違いについては、下記の記事にて分かりやすくまとめています
注意1:ひかり電話オフィスはVDSL方式では利用できない
VDSL方式とは、光インターネットの1つで、メタル線を利用している方式になります。この方式で光インターネットを利用している方は、ひかり電話→ひかり電話オフィスへ変更する際は、VDSL方式から光配線方式に変更する必要があります。
少し詳しく説明しますと、VDSL方式とは主にマンションやオフィスビルなどの共同住宅/オフィス設備で利用されるものです。マンションやオフィスビルのある場所までは光ファイバーで引き込み、その場所からは既存の電話線(メタル線)に光信号を乗せる形でインターネットを利用します。
VDSL方式のメリットは、既存設備が利用できるため月額の利用料が安価で工事が簡単な点です。ただし、デメリットとして、インターネット速度が最大100Mbpsとやや低速であり、かつ、他の住居者との共有回線となるため、他の住居者の使い方によっては、インターネットの利用に影響を生じることもあります。
NTTのひかり電話オフィスのサービス提供条件として、このVDSL方式ではひかり電話オフィスは提供できないということが決まりとしてあります。そのため、現状、VDSL方式を利用している方は、光配線方式に変更しなければなりません。
光配線方式とは、宅内まで全て光ファイバーで引き込む方式です。やや利用料金は高くなりますが、インターネット速度は最大1000Mbps(1Gbps)と高速になるため、最近の動画配信サービスの普及に伴い、VDSL方式から光配線方式に切り替える方がとても増えています。
ただ、大きな問題として、VDSL方式を利用しているマンションでは光配線方式を利用することができないことがあります。古いマンションやオフィスビルでは、配管の老朽化や設備の問題により光ファイバーが宅内まで引き込めない場合、というのがあるのです。
そして、光配線方式に変更できない場合は、残念ながら、ひかり電話オフィスは利用できないということになります。あきらめざるを得ません。
「わたしは、VDSL方式だけど、ひかり電話オフィスを使いたい!どうすれば?」
という方は、まずはその旨、NTTに申し込んでみましょう。NTTは原則無料でVDSL方式から光配線方式に切り替えができるかを下見をしてくれます。その結果を見てから考えるでも遅くはないでしょう。ただし、切り替えることが前提のため、下見だけ、ということはできませんので、下見OKなら切り替える、という前提でNTTへ連絡しましょう。
注意2:ビジネスホンを導入したほうが良い場合がある
現状、ひかり電話を利用しているということは、ひかり電話の通話サービスは同時1通話もしくは2通話なので、家庭用の電話機1~2台利用しているケースが多いでしょう。
ひかり電話→ひかり電話オフィスへ切り替えるということは、2通話では不足がある、3通話以上の同時通話をしたい!という理由が主なものだと思います。その場合、電話機を家庭用のままで利用するのか、ビジネスホンに変更したほうが良いのか、を検討すべきかもしれません。
それでは具体的な利用状況を想定して考えてみましょう。
ひかり電話 & 家庭用電話機
- 1通話目 → 家庭用電話機
- 2通話目 → 家庭用電話機
シンプルに、ひかり電話で同時2通話、その2通話に家庭用電話機を1台ずつ接続するとします。1台目はAさんの目の前に置き、電話がかかってきたらAさんが対応。2台目はBさんの目の前に置き、電話がかかってきたらBさんが対応するとします。
この場合は、社員の数も少ない場合は、かかってきた電話を保留して、子機に回してCさんにつなぐ。Aさんが離席中の場合はDさんがAさんの席に走って電話を取る、といったことも大きな混乱や負担もなく問題なさそうです。
ひかり電話オフィス & 家庭用電話機
- 1通話目 → 家庭用電話機
- 2通話目 → 家庭用電話機
- 3通話目 → 家庭用電話機
- 4通話目 → 家庭用電話機
今度は、ひかり電話オフィスで同時4通話、その4通話に家庭用電話機を1台ずつ接続するとします。1台をAさんの目の前に置き、電話がかかってきたらAさんが対応。2台目以降は、Bさん、Cさん、Dさんの目の前に置き、それぞれ対応するとしましょう。
この場合は、社員の数も増えています。毎回、Aさんの場所から電話が着信しますので、Aさんがほとんどの電話を取ることになります。ただ、Aさんの電話機が通話中の場合に、Bさん、Cさん、Dさんに同時に複数着信をしてゆく場合、多少混乱するかもしれません。どの電話機に今着信があるのか、どの電話機から誰につなぐべきなのか、子機も併用していると何台も子機があることになり、どの子機が何通話目なのか、よくわからなくなるかもしれません。ちょっと大変そうですね。
ひかり電話オフィス & ビジネスホン
- 1通話目 → ビジネスホンのボタン1つ目
- 2通話目 → ビジネスホンのボタン2つ目
- 3通話目 → ビジネスホンのボタン3つ目
- 4通話目 → ビジネスホンのボタン4つ目
今度は、 ひかり電話オフィスで同時4通話、その4通話を全てビジネスホンに収容するとします。その場合でもAさん、Bさん、Cさん、Dさんの目の前に電話機を置くことになりますが、電話が着信するのはビジネスホンの外線ボタンです。どの着信でも、だれでも外線ボタンを押しさえすれば電話を取ることができます。
また、内線を回すときには、何番目の着信かはボタンを見れば一目でわかるため、内線をつなぐ先の人もスムーズに電話を取ることができます。これは大変便利です。
ビジネスホンは、基本的には3~4通話以上の電話利用、もしくは、3~4人以上の電話利用のいずれかがある場合は、業務効率のアップを実感できるOA機器です。現在、家庭用電話機を利用している場合で、ひかり電話→ひかり電話オフィスに切り替える場合は、ビジネスホンが本当に不要かどうかを検討してみることをお勧めします。
注意3:ビジネスホン利用中なら電話工事が必要になる
現在、ひかり電話を利用していてビジネスホンを利用している場合は、ビジネスホンについて現状を調べる必要があります。そして、ほとんどのケースでビジネスホン工事が必要となる可能性があります。また、使いたい利用方法によっては、新しいビジネスホンに入れ替えなければならないかもしれません。どのようなケースでどのような対応が必要になるかを見てゆきましょう。
・ビジネスホン機器を入れ替える必要がある場合
ビジネスホンは、規模により大きく価格が異なります。以下は規模感を表す一例です。
- 同時2通話・5台まで → 低価格
- 同時4通話・8台まで → 中価格
- 同時8通話・20台まで → 中価格
- 同時12通話・32台まで → 中価格
- それ以上 → 高価格
この同時2通話・5台までを利用している場合は、注意が必要です。
ひかり電話オフィスに切り替えて、同時3通話にしようとしても、このビジネスホンのままでは利用できません。以下のパターンによる対策が必要です。
- ビジネスホンでは2通話とし、FAX をビジネスホンから外す もしくは3通話目を家庭用電話にする
- 主装置というシステム部分を交換し電話機を流用する
- 主装置というシステム部分を交換し電話機も交換する
1つ目の案は、ビジネスホンを変える必要がありませんが、使い勝手が悪くなります。2つ目で済めばよいのですが、上位の主装置が電話機流用できないタイプの場合は、3つ目の全交換が必要となります。
・ビジネスホンの工事が必要な場合
ビジネスホンでひかり電話・ひかり電話オフィスを利用する場合、次の3つの方法があります
- ひかり電話をアナログ電話回線に変換し、ビジネスホンに収容
- ひかり電話をデジタル電話回線(ISDN回線)に変換し、ビジネスホンに収容
- ひかり電話を電話回線変換せずに、LANケーブルでビジネスホンに収容
上記のビジネスホンへの収容方法が、前のものから新しいものに変更となる場合は、ひかり電話・ひかり電話オフィスを収容する機器(ユニットといいます)が変更となります。
また、同時通話数が増える場合も必要な場合もあります。
これは、かなりケースバイケースで、現状の状況・ビジネスホンの機種・今後の利用したい方法の3つにより大きく異なりますので、以前ビジネスホンを導入した会社や配線プロッタのようなWEB配線工事サイトを利用し確認する必要があります。
注意4:電話番号の通知方式を調整しよう
ひかり電話オフィスはひかり電話よりも、電話番号の通知方式が便利になる場合があります。それは「電話番号を複数所有している場合、好きな電話番号を通知できる」という機能です。
「特に通知される電話番号が何なのかは気にならないよ」という方には不要な機能ですが、「通知される電話番号はきちんと管理したい」という方には必須の機能でしょう。なお、この機能は、ビジネスホン利用により大変便利になります。例えば以下のような使い方ができます。
- 外線1番からの発信は0001
- 外線2番からの発信は0002
- 外線3番からの発信は0120-000-000
発信したい電話番号を、契約番号(マイナンバーなどの追加番号でも可能)として取得していることが前提です。
ただ、「この外線ボタンからはこの番号で先方に通知される」ことが分かって発信できるということは、もし、先方が着信を取れなかった場合に「折り返してもらえるか」などを考えて発信できるようになり、あれば便利な機能です。
また、フリーダイヤル(フリーアクセス等NTT他社も含む)の「特定番号通知機能」を契約すれば、フリーダイヤルの番号も通知できます。これは、家庭用電話機でも可能ではあるのですが、ビジネスホンの場合は「フリーダイヤルの番号を通知するか、一般番号を通知するかを設定により使い分けられる」ということができます。この使い分けにより、また1つ便利になるかもしれませんね。
ひかり電話では、この番号通知選択機能はなく、ひかり電話アダプターの内部設定にて「1通話目は0001で通知、2通話目は0002で通知」というような簡易設定しかできません。ひかり電話オフィスとビジネスホンを組み合わせることで、初めて柔軟な発信者番号通知の使い分けができるようになります。もし、自社のビジネスに役立つとお考えの方は、導入を検討されてもよいかもしれません。
まとめ
ひかり電話からいひかり電話オフィスへ変更する前に知っておきたい4つの注意点につき解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
ひかり電話からひかり電話オフィスに伴い、同時2通話と同時3通話以上になるという、使い勝手が大きく異なる「壁」があります。その壁を超えるということは、ビジネス構造を変化させるステップアップという大きな変化でもあります。電話をうまく使いこなし、自社のビジネスを成長させてゆきましょう!